忍者ブログ
読売、毎日、朝日各社英字新聞の社説を学習研究
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

(Mainichi Japan) July 17, 2011
Kaleidoscope of the Heart: A bit of both worlds
香山リカのココロの万華鏡:「どっちもアリ」でいい /東京

I recently read Setsuko Tsumura's collection of stories titled "Henro Michi" (Pilgrimage route), a book narrated in the first person that focuses on the time around her husband's death from illness.
 津村節子氏の連作短編集『遍路みち』を読んだ。長年、連れ添った夫の病没の前後のことが中心の私小説集だ。

As some readers may know, her husband, whom she was with for many years, was the novelist Akira Yoshimura.
言うまでもなく、津村氏の夫は小説家の吉村昭氏である。

The woman featured in the book clearly holds her husband close to her heart, and devotes herself to looking after him even after he falls ill.
 小説の中に出てくる女性は、誰から見ても夫を大切にし、病を得てからも献身的に介護する。

However, she feels she failed to grasp her husband's feelings in the closing period of his life -- something she continues to blame herself for.
それでも女性は、とくに最期の時期、十分に夫の気持ちをくみ取ることができなかったのでは、と自分を責め続ける。
In the book, comments such as the following are common:
繰り返し、このようなフレーズが登場する。

"In a marriage spanning 50 years, there must have been happy and fun times, but all I remember are the regrets from the week before his death."
 「五十年の結婚生活の間に嬉しいことも楽しいこともあったはずなのに、思い出すのは最期の一週間の悔いばかりだ」

The woman's children and acquaintances tell her, "You did well," "He lived a happy life," but no matter how much they console her, she can't snap out of her mood.
 子どもや知人が「よくやったよ」「亡くなった方は幸せでした」といくら女性を慰めようとしても、なかなか気持ちの切り替えができない。

To escape the oppressive feelings inside her she goes on a "pilgrimage" tour and hot spring therapy trip, but all that wells up inside her is regret.
胸の中の重苦しさから逃れるようにお遍路ツアーや湯治旅行に出かけたりもするが、結局、心に浮かぶのは「悔いばかり」ということになる。

During this time, of course, the woman is holding down a job and deftly dealing with issues associated with her late husband.
もちろん、その間も女性は自分の仕事をしたり、亡夫に関係したあれこれを手際よく処理したりはしているのだ。

It occurred to me that there must be many people like this in the world.
 世の中には、こういう人がたくさんいるのだろう、と思った。

Others tell them, "You must be happy," and these people don't focus too much on their own sadness or pain. 外からは「幸せでしょう」と言われ、自分も悲しみや苦しみをあまり見せない。

They can carry out their daily work and lives without any real problems.
毎日の仕事や生活は、とくに問題なく行うことができる。

But underneath this outward appearance, they are filled with regrets, anger, hurt and despair, and these feelings don't fade with time.
しかし、一皮むけば、その心の中は後悔、怒り、傷つき、絶望などでいっぱいで、時間がたってもそれが少しも薄れない。

No doubt there are people who live for decades with this deep darkness in their hearts without anybody else knowing.
「心の深い闇」を抱えたまま、誰にもそれを知られずに何十年も生きている人もいるに違いない。

That's not to say these people's lives are not worth it.
 だからといって、そんな人生はつまらないものか、と言えばそれも違う。

It's just that the faces they show to others and the ones inside their hearts are different.
外に向ける顔と心の中の顔が違う。

They laugh but inside, the tears are flowing.
ニコニコ笑っているが、胸の中では涙を流している。

And sometimes, those feelings probably trade places.
ときにはそれが入れ替わることだってあるだろうう。

I believe that such complexities and contradictions add depth to these people's character.
そんな複雑さや矛盾が人間の厚みを増してくれる、と私は信じている。

The other day when I was visiting Shikoku on a business trip, I saw a poster at Takamatsu Airport advertising pilgrimages.
 先日、仕事で訪れた四国の高松空港で、お遍路の宣伝ポスターを見かけた。

On it was the phrase "Looking back, everything was fun."
そこには、「振り返れば、楽しいことばかり」という文字が記されていた。

It was the opposite to how Tsumura felt, but it was not a lie.
津村節子氏の思いとは逆だが、これもまたウソではない。

Sometimes people can think, "Ah, life is full of fun," and then the next instant they are thinking "There's nothing fun at all."
「ああ、人生、楽しいことだらけ」と思ったり、次の瞬間には「楽しいことなんてひとつもなかった」と思ったり。

But I don't worry if they're inconsistent or if they have a dual nature.
一貫していなくても、二面性があっても、少しもかまわない。

A bit of both worlds is OK.
「どっちもアリ」でいいはずだ。

(By Rika Kayama, psychiatrist)
毎日新聞 2011年7月12日 地方版
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
google ad
test for google ad
プロフィール
HN:
srachai
性別:
男性
職業:
civil engineer
趣味:
子育て
自己紹介:
妻はタイ人、娘ばかり3人も!

■近況

2009年の9月15日に脳梗塞を発症、右手が少し不自由になりました。
MRAで脳梗塞の部位を特定でき、素早い処置をとれたので大事に至りませんでした。
快復にむけてリハビリ中です。
(2011/01/01更新)

■自己紹介・リンク

[ はじめに ]
タイのスラチャイです。
英語学習に王道はありません。
毎日毎日の地道な努力の積み重ねが必要です。
スラチャイはNHKのラジオ英語会話で現在の英語力を身につけました。
一日僅か15分の学習でも数年間継続すれば相当な学習効果が期待できます。

[ 名前 ]
松井 清 (スラチャイ)

[ 略歴 ]
・福岡県出身
・国立高知大学卒業
・準大手建設会社に就職
・50歳で会社を早期退職
・99/10 タイ全土を旅行
・00/10 タイに移住
・03/07 カイちゃん誕生
・07/06 シーファーちゃん誕生
・現在タイ国コンケン在住

[ 座右の銘 ]
Slow and steady wins the race.
遅くとも着実な者が勝利する
(NHK基礎英語芹沢栄先生)

[ 学習の手引き ]
・音読して耳から英語を吸収
・Think in English.
・ネイティブ発音付辞書活用
・英英辞典を活用(英和も)
・翻訳和文で専門用語確認

[ English Newspapers ]
Yomiuri
Mainichi
Asahi
Japan Times
Washington Post
Newyork Times
Bangkok Post
The Nations
Phuket Gazette

[ 英字新聞の英和対訳学習 ]
英字新聞(読売)
英字新聞(毎日)
英字新聞(朝日)
英字新聞(朝日2) 

[ スラチャイ編集の辞書 ]
タイ日辞書(改訂版)
日タイ辞書(改訂版)
ラオ日辞書
日ラオ辞書

affiliate b 1


ブログでお小遣い 無料サンプルも


基礎タイ語

基礎タイ語一覧(タイ文字、ローマ字)
seesaaサイト内リンク一覧:
01 あいさつ
02 別れのあいさつ
03 声をかけるとき
04 感謝の言葉と答え方
05 謝罪の言葉と答え方
06 聞き直すとき
07 相手の言うことがわからないとき
08 うまく言えないとき
09 一般的なあいづち
10 よくわからないときの返事
11 強めのあいづち
12 自分について述べるとき
13 相手のことを尋ねるとき
14 頼みごとをするとき
15 申し出・依頼を断るとき
16 許可を求めるとき
17 説明してもらうとき
18 確認を求めるとき
19 状況を知りたいとき
20 値段の尋ね方と断り方
21 急いでもらいたいとき
22 待ってもらいたいとき
23 日時・場所・天候を尋ねるとき
24 その他

基礎タイ語一覧(タイ文字、音声付き)
サイト外HPリンク一覧:
01 あいさつ
02 別れのあいさつ
03 声をかけるとき
04 感謝の言葉と答え方
05 謝罪の言葉と答え方
06 聞き直すとき
07 相手の言うことがわからないとき
08 うまく言えないとき
09 一般的なあいづち
10 よくわからないときの返事
11 強めのあいづち
12 自分について述べるとき
13 相手のことを尋ねるとき
14 頼みごとをするとき
15 申し出・依頼を断るとき
16 許可を求めるとき
17 説明してもらうとき
18 確認を求めるとき
19 状況を知りたいとき
20 値段の尋ね方と断り方
21 急いでもらいたいとき
22 待ってもらいたいとき
23 日時・場所・天候を尋ねるとき
24 その他

Copyright © [ 英字新聞 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]